2025年のミドルレンジ市場を二分するNVIDIAの「RTX 5060 Ti」とAMDの「RX 9060 XT」。最新アーキテクチャ「Blackwell」と「RDNA 4」を搭載した両者の性能差はどれほどか、そして「自分にとっての正解」はどちらなのか?
この記事では、実際の平均FPSデータと、劇的な進化を遂げたAI機能(DLSS 4 vs FSR 4)の違いを基に、プロの視点で徹底解説します。
【結論】RTX 5060 Ti vs RX 9060 XT どっちが買い?性能差まとめ
まず結論からお伝えします。総合的なゲーム体験の質と将来性で選ぶなら「RTX 5060 Ti」、ネイティブな動作速度と電力効率を重視するなら「RX 9060 XT」が正解です。
ゲーミング性能比較グラフ(フルHD・WQHD):RTX 5060 Tiが最大12%優位
実際のベンチマークデータに基づくと、両者のフレームレート差は以下の通りです。
| GPU | スコア | パフォーマンス |
|---|---|---|
| RX 7800 XT | 113.9 | |
| RTX 4070 | 113.9 | |
| RTX 5060 Ti 16GB | 103.7 | |
| RTX 5060 Ti 8GB | 102.1 | |
| RX 9060 XT 16GB | 98.2 | |
| RX 7700 XT | 97.9 | |
| RTX 4060 Ti 8GB | 89 |
データ出典: 本グラフは、海外の大手ベンチマークサイト( Tom's HARDWARE, TechSPOT, TechPowerUP )が公開する複数のゲーム(18 game averageなど)における「1080p (Full HD)」の平均ベンチマークデータを基に、当サイトが独自に集計・作成したものです。
※スコアは3サイトの平均値。データが1サイトまたは2サイトにしかない場合は、その平均値を使用しています。
| GPU | スコア | パフォーマンス |
|---|---|---|
| RX 7800 XT | 80.6 | |
| RTX 4070 | 78.7 | |
| RTX 5060 Ti 16GB | 70.4 | |
| RX 7700 XT | 68.8 | |
| RTX 5060 Ti 8GB | 64.3 | |
| RTX 4060 Ti 16GB | 63.5 | |
| RX 9060 XT 16GB | 62.8 | |
| RTX 4060 Ti 8GB | 56.9 | |
| RTX 5060 | 55.1 |
データ出典: 本グラフは、海外の大手ベンチマークサイト( Tom's HARDWARE, TechSPOT, TechPowerUP )が公開する複数のゲーム(18 game averageなど)における「1440p (WQHD)」の平均ベンチマークデータを基に、当サイトが独自に集計・作成したものです。
※スコアは3サイトの平均値。データが1サイトまたは2サイトにしかない場合は、その平均値を使用しています。
| GPU | フルHD 平均FPS | WQHD 平均FPS | 4K 平均FPS |
|---|---|---|---|
| RTX 5060 Ti (16GB) | 100% (103.7 fps) | 100% (70.4 fps) | 100% (40.6 fps) |
| RX 9060 XT (16GB) | 94.7% (98.2 fps) | 89.2% (62.8 fps) | 89.4% (36.3 fps) |
1080p(フルHD)ベンチマークを比較の基準にする正当な理由
本記事では、あえてフルHD(1080p)の結果を重視しています。これは、GPUへの負荷を意図的に下げることで、グラボ本来の演算効率とCPU側との連携性能(ボトルネックの少なさ)を純粋に引き出し、正確に比較するためです。
最新AI機能で決まる!DLSS 4 vs FSR 4 の決定的な違い
2025年のグラボ選びは、もはや「生のパワー」だけでは決まりません。両者が搭載する「AIアップスケーリング」の進化が勝敗を分けます。
Blackwell世代の武器「DLSS 4 Multi Frame Generation」の威力
RTX 5060 Tiが採用するDLSS 4は、従来のレンダリングと比較してフレームレートを最大8倍に引き上げます。
- 革新技術: 1つのレンダリングフレームに対し、AIが最大3つの追加フレームを生成します。
- 画質の安定性: グラフィックス業界初のリアルタイム応用となる「トランスフォーマー」モデルを採用し、ゴーストの抑制と動体ディテールの向上を実現しています。
RDNA 4で進化した「FSR 4」:機械学習による画質向上のメリット
対するRX 9060 XTのFSR 4は、従来の汎用的な手法から「機械学習ベース」へと完全移行しました。
- 圧倒的な効率: 4分の1の低解像度からネイティブに近い画質を生成します。
- 専用最適化: RDNA 4の新しいFP8 MLアクセラレーションに最適化されており、透明度やアンチエイリアシングの品質が劇的に改善されています。
後悔しない選び方:あなたのプレイスタイルに最適なのはどっち?
両GPUがそれぞれどのようなユーザーに最適かについて、推奨理由と結論を明確に提示します。
RTX 5060 Tiが「おすすめな人」:最新AI画質とレイトレ重視派
RTX 5060 Tiは、NVIDIAの最先端のニューラルレンダリング技術と、確定した国内価格による安心感を求めるユーザーに最適です。
- 最新のAI機能を使い倒したい: 「最大8倍」のフレームレート向上を誇るDLSS 4の恩恵をフルに受けたい方。
- レイトレを美しく楽しみたい: 前世代比で交差判定レートが2倍になった第4世代RTコアを搭載し、映画のような光の表現を快適に動かせます。
- クリエイティブも妥協しない: 第9世代NVENCにより、配信や動画編集効率も非常に高いです。
RX 9060 XTが「おすすめな人」:ネイティブパワーとコスパ重視派
RX 9060 XTは、優れた電力効率と、高いブーストクロックによるネイティブ性能を重視し、静音性や省エネ性を求めるユーザーに最適です。
- 生の演算速度を重視: 最大3.13 GHzという驚異的なブーストクロックにより、AIを使わない状態での基本性能が高いです。
- 省電力・静音性を求める: TBP 160W(16GB版)と、RTX 5060 Ti(180W)よりさらに消費電力が低く、扱いやすいモデルです。
- 初期投資を抑えたい: $379.99〜という価格設定で、最新世代の機能を最も安価に手に入れたい方に最適です。
【注意】4K最高設定を狙うならRTX 5080以上の検討を
どちらもミドルレンジとしては最強クラスですが、4K解像度での平均FPSは30〜40台に留まります。4Kで240Hzなどの極限環境を求めるなら、RTX 5090や5080といった上位モデルを検討してください。
失敗しないおすすめゲーミングPC構成:CPU・メモリの最適解
グラボの性能を100%引き出すには、周辺パーツのバランスが不可欠です。
GPUの性能を100%引き出す「推奨CPU・メモリ・ストレージ」
- CPU: Intel Core Ultra 5 225 または Ryzen 5 9600X 以上を推奨。これ未満のCPUでは、グラボの速度に処理が追いつかず、カクつきの原因になります。
- メモリ: 最新ゲームの要求スペックを考慮し、32GB(DDR5規格)が鉄板です。最低ラインは16GB。
- ストレージ: ロード時間短縮のため、1TB以上のNVMe SSDは必須条件です。
【厳選】RTX 5060 Ti / RX 9060 XT 搭載おすすめPC 6選
該当するPCは見つかりませんでした。
FRGKB550ASR/WS12100/NTK
| CPU | Ryzen 7 5700X |
| GPU | Radeon RX 9060 XT |
| 価格 | 179,800円(税込) |
こちらのPCは「FRONTIER」にて販売されています。FRONTIERは、台数限定のPCが多い点が特徴のBTOショップです。気になったPCがあれば、販売台数は事前に確認しておきましょう。
詳細スペック徹底比較:BlackwellとRDNA 4の技術的背景
まずは、RTX 5060 TiとRX 9060 XTの主要なスペックを、公表されているデータに基づいて見ていきましょう。
| 項目 | RTX 5060 Ti | RX 9060 XT (16GB版) | 違いのポイント |
|---|---|---|---|
| アーキテクチャ | Blackwell | RDNA 4 | 世代アーキテクチャが異なる |
| コア数 (CUDA/SP) | 4,608 CUDAコア | 2,048 SP (32 CU) | コア構成が異なる |
| ブーストクロック | 2.57 GHz | 3.13 GHz | RX 9060 XTの方が高クロック |
| RTコア/アクセラレータ | 第4世代 / 72 TFLOPS | 32 Ray Accelerators | NVIDIAは最新の第4世代 |
| AI性能 (TOPS) | 第5世代Tensor / 759 AI TOPS | 64 AI Accelerators | NVIDIAはTensorコア、AMDはAIアクセラレータ |
| メモリ容量 | 16 or 8GB GDDR7 | 16 or 8GB GDDR6 | RTX 5060 TiはGDDR7を採用 |
| メモリバス幅 | 128-bit | 128-bit | 共通 |
| 消費電力 | 180W | 160W | RX 9060 XTは低消費電力で安定 |
| PCIeインターフェース | Gen5 | PCIe 5.0 x16 | どちらも最新規格に対応 |
| 希望小売価格 (JP) | ¥69,800 | 8GB版:$269.99 / 16GB版:$379.99 | RTX 5060 Tiは明確な国内価格 |
| 発売日 | 2025年4月16日 | 2025年6月6日 | 約2か月の差 |
上記のスペックから、それぞれの違いや性能差について深堀していきます。
▼各CPUのより詳しい個別詳細については、以下の記事にて確認して下さい。
RTX 5060 TiとRX 9060 XTの違いは?それぞれの特徴を深堀り
両GPUは同じ128-bitバス幅、PCIe 5.0対応、そして新世代アーキテクチャ を採用していますが、その特性は大きく異なります。
1. 日本価格とコストパフォーマンス:価格の明確さ vs 選択肢の幅
RTX 5060 Tiは、国内価格が¥69,800と明確に設定されています。これは、前世代のRTX 4060 Tiの発売価格(¥69,800)と同等であり、最新のGDDR7メモリやBlackwellアーキテクチャ を搭載していることを考えると、非常に競争力があります。
一方、RX 9060 XTの価格は米ドルで公開されており、8GB版が$269.99、16GB版が$379.99です。特に8GB版は非常に安価な設定であり、国内価格が円安を考慮しても競争力のある水準で設定されれば、RX 9060 XTは高いコストパフォーマンスを発揮する可能性があります。
2. 電力効率と熱設計(TDP):RX 9060 XTの圧倒的優位性
TDP(熱設計電力)は、両モデルが近い性能ということで差が出にくいです。
- RX 9060 XT:消費電力は8GB版で150W、16GB版で160Wと非常に効率的です。
- RTX 5060 Ti:消費電力は180W という数値。RX 9060 XTより少し大きい電力消費です。
3. AI技術とエコシステム:DLSS 4の進化 vs FSR 4の登場
どちらのメーカーも、アップスケーリングとAI技術を強化しています。
- RTX 5060 Ti (Blackwell / DLSS 4):第4世代RTコア と第5世代Tensorコア を搭載し、AIを活用したDLSS 4(Multi Frame GenerationやRay Reconstructionを含む)を提供します。DLSS 4はトランスフォーマーと呼ばれる最先端のAIモデルによって強化され、フレームレートを最大8倍まで向上させられるとされています。NVIDIA Studio やNVENCといったクリエイター向けエコシステムも充実しています。
- RX 9060 XT (RDNA 4 / FSR 4):RDNA 4アーキテクチャの64基のAI Accelerators と、AMDの新しいアップスケーリング技術FSR 4を組み合わせます。RDNA 4はレイトレーシング性能もRDNA 3と比較して大幅に向上させており、FSR 4はネイティブに近い画質 でフレームレートを向上させることが可能です。
RTX 5060 Ti / RX 9060 XT に関するよくある質問 (FAQ)
- QAIアップスケーリング技術の性能差はありますか?
- A
NVIDIAのDLSS 4 は、第5世代Tensorコア とトランスフォーマー と呼ばれる高度なAIモデルを活用し、フレームレートを最大8倍まで向上させられる など、技術的な優位性を持っています。一方、AMDのFSR 4はRDNA 4アーキテクチャに最適化された機械学習を活用したアップスケーリング を特徴とし、DLSSに匹敵する性能をオープンなプラットフォームで提供することを目指しています。
- QどちらのGPUが長く使えそうですか?
- A
どちらもPCI Express Gen5 と、NVIDIAはGDDR7メモリ、AMDはRDNA 4アーキテクチャ を採用しており、将来性は高いです。特にNVIDIAのRTX 5060 Tiは、GDDR7という最速メモリを搭載している点が将来的なテクスチャ利用増に対応する強みとなります。
最終結論:2025年のミドルレンジ覇者はどっち?
結論として、「1フレームの質と最高フレームレートを追求するならRTX 5060 Ti」、「コストを抑えつつ高いネイティブ性能を求めるならRX 9060 XT」を選んでください。
- RTX 5060 Ti: DLSS 4による8倍速の恩恵、強力なレイトレ性能、そしてクリエイティブへの適正。
- RX 9060 XT: 3GHz超の高クロック、優れた電力効率、そして圧倒的なコストパフォーマンス。
あなたのゲームライフに最適な一枚を選び、最高のゲーミング体験を手に入れましょう!





